家事らく
リフォームコンテスト
2023

株式会社シーエムシー一級建築士事務所様の事業内容や特徴を教えてください

当社は、家屋等の倒壊により6400余名もの犠牲者を出した阪神・淡路大震災をきっかけに、木造住宅が地震に強ければ尊い命を救えたのではないかと考え、2001年に木造住宅の耐震に特化した会社として設立しました。

現在、大阪全域、京都、奈良、兵庫の一部地域を対象に、木造住宅の耐震診断・改修、リノベーションをメインに行なっています。従業員のほぼ全員が建築士の資格を有しているため、専門的な知識と経験が必要な耐震診断・改修設計をはじめ、業務契約から引き渡しまで一気通貫で請け負っています。
詳しくは2023年「エマウォール部門」最優秀賞の記事をご覧ください

今回の受賞作品についてお聞かせください

お客様の住まいは、1970年代に建てられたご実家を譲り受けられたものでした。築年数が経過した木造建築だったため、地震が心配とのことで耐震診断を受けたいというのが最初のご相談でした。その後、震度6強の地震で倒壊する危険性が高いという診断結果から、壁を剥がすなど大掛かりな耐震改修が必要となり、「それならばいっそフルリノベーションします」というご決断に至りました。

ご家族会議の結果、コンセプトは「広々した空間でみんなが自由な時間を過ごせる家」で、細部にわたって理想の形をお伝えくださいました。なかでも「キッチンは妥協したくない!!」とのことで、デザイン性だけでなく、使い勝手やお手入れの簡単さなども配慮した対面キッチンというリクエストをいただきました。また、ダイニングは仕切りをなくし、ご家族と会話・団らんしながら料理ができるようにしたいとのこと。ほかにも、玄関、洗面室、寝室、趣味の部屋なども効率的な動線とバリアフリーを取り入れた“自分たちの好き”を形にした家にしたいというのがお客様のご要望でした。

お客様からのご要望のほか、御社からはどのようなご提案をされましたか？

何よりも、お客様のご要望は耐震補強でしたので、既存の躯体を活かし、壁・天井・床を補強することで耐震性のある空間をご提案しました。

また、お打ち合わせからご家族との会話や団らんを大切にされていることが伝わってきましたので、リビング・ダイニング・キッチンを一つの空間にすることを、図面やパースを使って、お客様とコミュニケーションを取りながら提案させていただきました。

内装については、お客様のご要望がより良い形になるようお手伝いし、出来る限りお応えすることに注力しました。その背景には、勉強熱心な奥様の存在がありました。よくあるケースなのですが、奥様はリノベーションを決めてから雑誌やSNSにてさまざまな事例をご覧になられたため、正解がわからなくなってしまったそうです。なので、「お客様がやりたいようにやれば、それが正解です」とアドバイスさせていただきました。この言葉で冒険する決心ができたとのこと。その冒険がご満足いただける結果となるよう、これまで培ってきた知識と経験をフル動員しました。

「キッチンは妥協したくない!!」とのことでした。詳しく教えてください

「対面キッチン」と「ご家族と会話・団らんしながら料理をしたい」というリクエストが当初からありましたので、リビング・ダイニング・キッチンを一つの空間になるよう、大きな間取り変更を行ないました。その結果、ご家族との会話が弾み、また、料理中でもリビングまで見渡せて、やんちゃ盛りのお子様たちを見守れる対面キッチンが実現しました。

システムキッチンは、タカラスタンダード大阪HDCショールームにて「トレーシア」を勧めさせていただきました。コンクリート調のクロスとの相性が良く、高級感あるシックなデザイン、油汚れを簡単に落とせるお手入れのしやすさ、さらには収納スペースが多いなど細かなところまで配慮された構造をお気に召していただき採用となりました。

キッチン上部に黒の下がり天井を取り入れたことで空間が引き締まり、リビングに広々とした開放感が生まれました。その効果をさらに際立たせるための天井クロスをチョイスし、フローリングと壁とのコントラストを効かせました。

そして、キッチンと程よい距離感がありながら、しかしご家族の気配を感じられるリビングには、間接照明を入れ、まるでシアタールームのような雰囲気のある空間に仕上げました。

耐震診断のご相談で初めてお客様にお会いしたのは4年前。耐震改修も含めたフルリノベーション工事が完了しお引き渡しまで1年がかりと、長期にわたってお付き合いいただきました。じっくりと時間をかけたことで、地震に強く、お客様にご満足いただける家をつくることができました。

大変身したお家をご覧になったお客様の反応はいかがでしたか？

「希望に沿う形に仕上がりました！感謝でいっぱいです！」と、たいへん嬉しいお言葉をいただきました。後日、お客様宅へうかがった際も、たくさんの感謝のお言葉を頂戴し、さらにはご家族と団らんしながら笑顔で家事をされている奥様の様子も拝見できて、間取りからシステムキッチン選びまで、これで正解だったと改めて感じました。

私たちを信頼してくださり、たくさんのご要望をうかがえました。お子様たちの思いを形にできたことも私たちにとって良い経験になりました。何よりも「子どもたちが成長し、生活スタイルが変化した際も、またお願いしますね」とおっしゃってくださったのが本当に嬉しかったです。

御社がリノベーションで大切にしているものは何ですか？

理想の住まいは、何よりも「命を守れる家」が大前提です。どんなに素敵な家も、命あってのこと。地震活動期に入った現在、地震に強い住宅は絶対であり、リノベーションにおいても耐震を強化していく必要があると考えています。
当社は、耐震に関する実績は関西一だと自負しています。耐震に不安を抱えている方に寄り添い、安心をお届けすることを大切にしています。

リノベーションはスピードが求められる場面もありますが、急ぎすぎることでお客様のご要望が叶わないまま工事が進むこともあります。そのようなことがないよう、じっくり時間をかけてお客様のご希望をお聞きする「傾聴」と、より良いものへなるようアドバイスする「提案」を繰り返し、ご満足いただける家をご提供していきたいです。